Hurly-Burly 4【完】

ああ、憂鬱過ぎて胃がまたキリリと痛む。

最近、胃もたれしてないからこれまた油断してたな。

また、工藤先生のところに行くべきだろうな。

ジョセフィーヌが悲しそうな瞳をしてあたしを見つめる。

「あのね、ダーリン。そろそろ、お話が進んでしまった

ようなので、来週の週末辺りに伯父様にお会いしなければ

ならなくなったみたいなの。」

『ハニー、行っちゃうの?』

「行くよ。あたしが行かなきゃ誰も守ってくれない。

大丈夫、伯父様はとっても優しい人だから無理強い

はしないんですよ。」

『でも、ハニーは自分のしたいことを押し殺しちゃうんじゃないの?』

クッションをポトリとフローリングの上に落とした。

『僕は知ってるよ。ハニーはお勉強するのが好きだろう?

だから、いつも本読んでて楽しそうにしてるの僕はよく

見てるんだから見縊らないで欲しいよ。』

だけど、それはあたしがしたいことでそんなの優先順位は

後回しにさせてるんだ。

この家を守らなくちゃ壊されちゃう。

大事にしてたものが・・・父さんの大好きなこのお家が

なくなったら、母さんに託されたこの家の主は今や

あたしだっていうのに守れなきゃ意味がない。


――――――――・・・・・


『日和、母さんと約束してくれる?』

大好きな母さんの思い出は少なくて貴重で、

小さい頃ながら覚えてるんだ。

小学校に入る前に日課になった電話で交わした

約束は今も胸に焼きついている。

「日和に出来る約束?」

『出来るよ。日和は母さんの子だもの。

きっと大人になったら母さんみたく美人に

なれるから安心しな。朝陽じゃ頼りないから

日和がお家を守ってね。朝陽が建てた家だから

壊れちゃったらきっと大泣きするよ。」

ふふっと笑う母さんはどんな顔をして笑って

いたのかそれこそ殆ど覚えてなかったな。

「父さんが泣くの?それは日和嫌だから頑張るの。

どうしたら、守ってあげることが出来るの?」

その頃から母さんに憧れたものだ。

強くて優しくてカッコイイ母さんのような女に

なるんだって決めてた。


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