Hurly-Burly 4【完】

通話ボタンを押して立ち止まって深呼吸した。

『こんばんわ、如何お過ごしでしょうか?』

その声に動揺して足が震えた。

「な、何故、貴方が・・・・」

『ヤダなー、可笑しくはないでしょう?

私の主から直々に頼まれたことなんですからね。

それとも、驚いて腰を抜かしましたか?』

ゾッとするような声色で手がカタカタ震えた。

寒いだけでこんなに震えるものか。

「何の用かしら?」

『分かってらっしゃらないな。貴女のことはいつも

監視させてもらってますよ。本当に一ノ瀬を継ぐつもりが

あるんですかね?』

あの日から全く会うことも連絡を取ることもなかった

あの秘書はやはりまだお祖父様の秘書だったか。

「あるわ、貴女がそう仕向けたんじゃない。」

直接だったらこんな強気で居られたか分からない。

『だったら、何故学校を星鈴にお選びになったんでしょうか?』

「そ、それは、高校は好きなところにと!!」

言ったのはお祖父様だったから。

本当は、一ノ瀬の後継として由緒正しき中央地区にある

学園に通わねばならないと思っていたのに好きなところへ

行けばいいよと言って下さった。

『まぁ、それはいい。これから、いくらでも変えること

なんて出来る。』

ゾクリと背筋が凍りついて床に崩れ落ちた。

立ってることが出来ないほど圧倒されてる。

「あ、貴方は一体何を企んでいるの?お祖父様を

操ってることが知られたらただでは済まないわ。」

最初から向けられた偽りの笑顔は不気味だった。

『お嬢様、前に言ったことをお忘れですか?』

この男は危険だって判断してた。

「忘れてないわ。」

忘れるわけない、夢にだってさえ現れた。

『そうですよね。貴女に選択権はありませんよ。』

分かってる、今のあたしでは力不足だということを

この身をもって実感してる。

『巻き込みたくはないんですよね?だから、私の

ことを誰かに告げず自分でどうにかしようとお考えだ。』

そもそも、彼はどうしてあたしにターゲットを絞った?

一ノ瀬の財産が狙いだったとして、・・・そうか。

あたしが、女で何も知らないのを最初から知ってたんだな。

だとしたら、相当手ごわい相手になりそうだ。

< 435 / 455 >

この作品をシェア

pagetop