Hurly-Burly 4【完】
少し走ってると人影がスッと見えて足を止めた。
だいぶ、気持ちを持ち直して鼻が寒いせいか真っ赤に
なりつつある時で、席を立ってから随分と時間が経ってた。
誰か心配になって探しにでも来てくれたんだろうか?
ただ、そう思っただけだった。
それが、間違いだったと気付くのはすぐのことだった。
心配して来てくれた割にはどんどん遠ざかって
どこに探しに言ってんだと思って後を追っていた。
※本当は寂しがり屋なだけなのです。元に戻るのに
抵抗があって丁度良いと思っています。
「ちょ、ちょっと、待ちたまえ・・・!」
走ったせいか息が上がっていて声にもハリがなかった。
相手は気付かずにどんどん学校から遠ざかっていく。
ど、どこに行く気だこんにゃろうと思って、
仕方なく後ろをついて行くしかなかった。
まさか、伊織君だったりして!
煙草を吸いに来たのかね。
それは良い心構えだが、気付け馬鹿者!!
あたしを置いていくではないよ。
人影がどんどん遠ざかって行くのを見て、
何か焦ったご様子だと思った。
それにしては、歩いているけども。
伊織君、まさか抜けて女の人に会う約束でも
してたり!!いや、ありえる話だな。
でも、そんなところを後追ってたらマズイんじゃない!?
この女誰よって修羅場になって刺殺されたら
あたし死んでも死にきれないっ!!
だんだん顔が真っ青になって足を止めて、
引き返そうかと思った時だった。
気付いたら、マンションの近くにある公園の中に
居てハッとしたのも束の間だった。
人影が2つあって息を呑んだ。
や、やっぱり!伊織君ったら、こんな公園に
呼び出すなんて意外とロマンチストだったのか。
それとも、女の子が呼び出したのかな?
物陰に咄嗟に隠れたのが正解だったようだ。
向こうはあたしが居ることに気付いてない。
このまま、引き返して学校に戻ろうと思った。
上手くやんなさいよと願掛けながらも、
歩を進めようとしたのを寸止めさせられたようだった。
「藍―――――――」
そう言って、抱きしめる人を見て言葉を失った。
真冬だっていうのに温かそうなオレンジブラウンの髪が
風に寂しく靡いていた。