Hurly-Burly 4【完】
見間違えるわけなく、あれはちぃ君だった。
だけど、何で藍ちゃんと!?
しかも、藍ちゃんとちぃ君が知り合い・・・いや、あれは
恋仲というヤツに分類されるのか!!
そういや、藍ちゃん好きな人居るとか言ってたけど、
その相手がち、ち、ちちちちちぃ君!?
あの2人デキテたのか!!
知り合いだったのかってことにも驚きなのに、
よ、世の中が狭すぎるぜ。
見ちゃいけないものだと思っても、動けなくて
立ち聞きをしてしまう結果だ。
は、早く戻ろう。何も見なかったことにすればいいんだ。
「・・・・もうどうしたら・・・」
「藍」
「・・・・分からないの」
何だろう、本当に見なきゃ良かった。
ちぃ君が優しいのは誰もが認めてたことだ。
だから、泣いてる藍ちゃんを抱きしめたこと
なんてちっとも可笑しくはない。
それが恋仲なら、悲しんでる彼女を励ますことは
月9でもよくある王道なシュチュエーションじゃないか。
煌びやかなドレスを身に纏った藍ちゃんはお姫様みたいで、
そのお姫様に似合うのはやっぱり王子様みたいな超絶な美形で
あるちぃ君でお似合いなのかもしれない。
あたしが泣いた日だって、ちぃ君はほっとけなかっただけで、
泣いてる人に手を差し伸べる優しい人なら尚更変じゃない。
だったら、何で心臓が潰れそうなんだろう?
見てられなくて、来た道を走ってそのまま家に帰って
しまえばいいやと思った。
今、自分が自分でないような気がして逃げるっきゃない。
このまま、戻ってもテンションの低さは丸わかりだ。
走ってる道に誰も居なくて車もちっとも通らない。
さっきまでは、よっちゃんたちとプレゼント交換とか
してて、ケーキとか食べてて楽しかったのに。
あの電話から奈落の底に突き落とされたかのような
惨劇が襲って来るのは占いが12位のせいだ。
きっと、今朝見忘れた星座占いが12位だったんだ。
だ、大体、ちぃ君と藍ちゃんが恋仲で落ち込む
必要はないではないか!
藍ちゃんの想いが叶っておめでとうケーキを
今度作ってお祝いしてやろうではないか。
別にこんなの大したことない。
ただ、さっきの電話にこれはちょっとキツイ。
友達のラブシーンほど気まずいものはない。
それ以上でも何でもないはずなのである。