Hurly-Burly 4【完】
学校近くの道を来ても人はちっとも通らなくて、
何だか馬鹿らしくなって地面にしゃがみこんだ。
綺麗な花が咲いてるよなんて夢心地で現実逃避してやろうか
とさえ思って、多分これが俗に言う追い詰められた時の
あたしの必殺技なんだと考えていた。
このまま、お花を摘んでうふふってしながら現実
なんて見ないで生きて行こう。
『お花さん、あたし今日からこの世界で生きてくよ。』
『あら、日和ちゃんいいわよ。』
『何かさ、もう馬鹿らしくなってきたよ。』
お花さんと手を繋ぎながらランラランって
歌を歌いながら一生を過ごせたら満足だ。
『何かあったのかい?』
突然、ガラッと雰囲気が変わってスナックのママさんに
お花さんが変身する。
『それが、実は今日は参ったことばっかで。』
※妄想に突入しました。しばらく、温かい目でお見守り下さい。
『何だい、浮かない顔してるのはそういうことだったのか。』
『そんなに分かりやすい顔してますか?』
『ここは、あんたの世界だから。あんたの望む通りに
どうとでもなるさ。』
お、お花さんが女豹に変わった!
レベルアップしたな、あたしの妄想!!
『あ、あたしの望む世界?』
『そうさ、あんたポーカーフェイスを気にしてたろ?』
そうか、だから妄想世界では笑ったり泣いたり出来るんだ?
それは初めて知ったからビックリだな。
やっぱり、妄想はあたしの幸せだ。
妄想出来る世界でずっと永遠に生きてたい。
『ずっと、ここに居たらいい。』
そう言って、女豹が手を差し伸べてきた。
それを取ればあたしだって妄想の世界の住人に
なれるような気がした。
女豹の肉球に後は身を委ねてやるだけで、
ここならあの秘書も気まずい現場を目撃
することなく、あたしの望んだ世界に居られる。
それなら、あの秘書をほくそ笑むことが出来て
万々歳じゃないかと過ぎったりもした。
女豹の手に手を伸ばそうとした時に、
女豹が微笑んで悪びれた顔をしてギョッとした途端
バシっと額を叩かれて現実に帰還した。