Hurly-Burly 4【完】
その口調は間違いなく慶詩なんだろうけど、
この優しさはいくら取る気で居るんだろうか!?
テメェなんかにただでくれてやるわけねぇだろうが
とか言われたらど、ど、どうしたらいい!!
「っあー、マジでさみぃーなクソったれ。」
「す、すまん、すまんよ。」
この寒冷前線はあたしの影響かもしれん。
「んあー、んでテメェが謝んだ?」
「い、いや、何となくだ。」
人とあたしはどうやって接してただろうか?
それさえ、分からなくなってバッと慶詩から
勢いよく離れてズササササっと木陰に隠れた。
「何やってんだ、んな遊びは流行んねぇから
さっさと戻って来い。」
「・・・・・・・むっ、無理だ!」
出来るなら最初からこんなことをしてるかッ!!
急に分からなくなったとか可笑しいな。
さっきまで普通だったはずなんだけど、
意味分からないよ。
「あ?何だと?」
「・・・ほっとけ!戻ってクリスマスパーティー
の続きでもしてたらいいさね。」
「何ごちゃごちゃ言って・・・何かあったのかよ?」
あたし、意地を張るのは得意なんだ。
こんな時に張っても意味ないのにさ、
普通なら弱音吐いてさ泣いてとかあるかもしれない。
だけど、こういう時に限って意地が強くて
思ってもないこと言ってしまうんだ。
「んっ?何だよ~抜け組居ると思ったらそういう
関係だったのかよ~ん」
や、厄介な人物が乱入してきた!
しかも、煙草モクモクさせて今更来てもしょうがないよ。
な、何で、さっきのが伊織君じゃなかったんだよ。
駄目だ、このままじゃ八つ当たりして嫌われるのがオチだ。
今すぐ、逃げてやろうじゃないか。
折角、仲良くなれたのにこんなことで終わらせてたまるか!!
「どこに逃げる気でいんだよ。」
伊織君の登場に紛れて消える予定が、
すぐに慶詩の声に引っかかって足を止めた。
わ、分かんないよ。
どうしたらいいかなんてずっと考えてんだよ。
さっきからどうしたら普通で居られるんだって
考えても結論が出なくて逃げることしか考えつかない
あたしの浅はかさを呪いたいところだ。
元々、ポーカーフェイスなんだから気にすることなんてないのに。