Hurly-Burly 4【完】
お兄ちゃんのように頼りがいがあるわけでも、
兄ちゃんのように人や動物から好かれるようなわけでもなくて、
父さんのように自由に放浪したりとかも考えられなくて、
母さんのように逞しいほど強いわけでもなかった。
だけど、ウジウジして情けないにも程がある。
シャキッとしろよって目を覚まされたようなものと同じだった。
2人に背中をポンっと押されてようやく分かった。
認めなきゃ駄目だ、自分の弱さから目を逸らしちゃいけない。
「す、少しだけ」
あたしに欠乏しているものはまだある。
だけど、一番欠乏してるのは自分の弱さを認めなかったことだろう。
バッターBoxに入ると無我夢中で打ち続けた。
どうやら、ストレスは極限まで溜まっていた。
クリスマス・イブ前のせいかお客さんは誰一人居なくて、
フルスイングしても誰も見てなくて恥ずかしくもなくて、
ただスイングするだけでここまでストレス解消出来る
とは思いもしなかった。
無言でスイングばかりするあたしに2人は黙って、
付き合ってくれたんだと思う。
何も言わずに悟ってくれたのはきっと2人の優しさだ。
ほんの少し涙が滲み出そうな気配がした。
ただ、強くありたかった。
それだけが、あたしの意地を強くした。
昔から、自分のことを話すことが苦手だった。
気持ちの表出しが出来ない子だからって、
大人には理解されにくい子どもだったんだろう。
思い通りにならない世界がどうしようもなくて、
いつからか傷つかないようにしてたんだと思う。
それが、あたしの妄想世界の発祥だと言える。
「あはは、全然当たらないや。」
力なく腕を振り下ろすと歯がゆさにバットが
鈍い音を出しながら落ちた。
「オメェさ、やっぱり何かあったんだろ?」
ベンチで項垂れた慶詩と目が合って、
ドキッとしたのも束の間のことだった。
「別に言いたくなきゃいいけどよー、前にも言ったろ?」
“七面倒なことグダグダ考えてねぇーでさっさと諦めて、弱音
吐くことが恥ずかしいことだとは限らねぇんじゃねぇーの?”
あれ、実はすごく嬉しくてホッとしてた。
本当はずっと頑張らなくちゃいけないって決め付けて、
あたしなりに正当化して悪循環だったんだと思う。