Hurly-Burly 4【完】

ゆっくりとベンチに近づくと伊織君に手首を引っ張られて、

ベンチに強引に座らされて目を瞬かせた。

「どれ?ゴミ、取れたみたいじゃねぇ~の。」

「う、うむ。」

伊織君の綺麗な顔が近づく恐ろしさに顔を背けたく

なったが、スルリと頬を親指で拭った。

綺麗な手だなとは思っていたが、予想以上に

冷たくてビックリして肩が飛び上がった。

多分、涙の痕を拭われたんだと思ったのはすぐの

ことで慌てて何か言わなきゃと思ったらスッと目が

細くなった伊織君に呆然とした。

「ゴミを甘く見るなよ~、」

騙されているのか騙されてくれてるのか。

伊織君のアッシュブラウンの瞳は何も語らない。

もう一度、瞬きをすると目薬をさした目から

ポロっと液体が零れおちて伊織君がもう一度

親指の腹であたしの目元を拭った。

酷く、優しく壊れ物でも扱ってるような

指使いに心がポッと花咲いた。

これだから、女の子の扱いがスペシャリスト級だと

言うんだろうなとか思いつくことはあったのに、

あまりにも優しく触れるものだから信じ難かった。

「あ、あ、ありが」

「俺は女の子には優しい紳士なのよ~ん」

「誰にでもか!」

ヘラっと笑う伊織君を見つめるとポンポンっと

頭を撫でられて言葉を失った。

「そりゃ、姫に涙は似合いませんからね。」

おちゃらけた口調なのにヘラっと笑う顔に、

思ってもないことをと言いたくなった。

「な、涙などではない!生理的現象の一種だ!!」

絶対に認めるわけにはいかなかった。

「だとしても、お前はもう少し頼りゃいいのによ~」

冷たいはずの手が温かく感じてまた涙が落ちるんじゃないか

と思ったら、ほっぺをブニッと突かれた。

「た、頼るようなことを言うはずがな」

「オメェを見てると、冷や冷やするじゃねーの。

危なっかしかったり、気の張り過ぎで壊れそうだったり、

見てるこっちが甘くなるように背けてるんだったらオメェは

大した女だって言ってやりてぇけど、単純に真っ直ぐだからな。」

片手でそっと撫でる手が止まない。

伊織君に優しくされるとは思っても見なかった。

サプライズでもこれからされるんじゃないかって

ドキドキすらしてきた。

< 450 / 455 >

この作品をシェア

pagetop