Hurly-Burly 4【完】
ゆっくりとベンチに近づくと伊織君に手首を引っ張られて、
ベンチに強引に座らされて目を瞬かせた。
「どれ?ゴミ、取れたみたいじゃねぇ~の。」
「う、うむ。」
伊織君の綺麗な顔が近づく恐ろしさに顔を背けたく
なったが、スルリと頬を親指で拭った。
綺麗な手だなとは思っていたが、予想以上に
冷たくてビックリして肩が飛び上がった。
多分、涙の痕を拭われたんだと思ったのはすぐの
ことで慌てて何か言わなきゃと思ったらスッと目が
細くなった伊織君に呆然とした。
「ゴミを甘く見るなよ~、」
騙されているのか騙されてくれてるのか。
伊織君のアッシュブラウンの瞳は何も語らない。
もう一度、瞬きをすると目薬をさした目から
ポロっと液体が零れおちて伊織君がもう一度
親指の腹であたしの目元を拭った。
酷く、優しく壊れ物でも扱ってるような
指使いに心がポッと花咲いた。
これだから、女の子の扱いがスペシャリスト級だと
言うんだろうなとか思いつくことはあったのに、
あまりにも優しく触れるものだから信じ難かった。
「あ、あ、ありが」
「俺は女の子には優しい紳士なのよ~ん」
「誰にでもか!」
ヘラっと笑う伊織君を見つめるとポンポンっと
頭を撫でられて言葉を失った。
「そりゃ、姫に涙は似合いませんからね。」
おちゃらけた口調なのにヘラっと笑う顔に、
思ってもないことをと言いたくなった。
「な、涙などではない!生理的現象の一種だ!!」
絶対に認めるわけにはいかなかった。
「だとしても、お前はもう少し頼りゃいいのによ~」
冷たいはずの手が温かく感じてまた涙が落ちるんじゃないか
と思ったら、ほっぺをブニッと突かれた。
「た、頼るようなことを言うはずがな」
「オメェを見てると、冷や冷やするじゃねーの。
危なっかしかったり、気の張り過ぎで壊れそうだったり、
見てるこっちが甘くなるように背けてるんだったらオメェは
大した女だって言ってやりてぇけど、単純に真っ直ぐだからな。」
片手でそっと撫でる手が止まない。
伊織君に優しくされるとは思っても見なかった。
サプライズでもこれからされるんじゃないかって
ドキドキすらしてきた。