Hurly-Burly 4【完】
ユウヤが鼻を掻きながら自転車を持ち替えた。
「前にも言ったと思うけどよ。
ちぃーは誰よりも優しい奴だぜ。
それで、誰よりも温かい男だって言わなかったか?」
「ゆ、ユウヤだって温かい男でしょ?」
「俺には出来ないようなことするんだって。」
「度肝を抜いた行動取るよね?」
優しいのはみんな一緒じゃないか。
ユウヤだって優しいの知ってる。
「ちぃーは優しすぎんだよ。」
「そうかな?」
普通だと思うんだけどな。
確かに、怒ったりしないし不良に今や見えない。
マイペースで天然で寝てばっかりでたまに意味
不明な行動に出るかと思いきや甘いものをこよなく
愛する男だと思うけどさ、そういうことしか知らない。
「俺はちぃーに会ってなかったら今こんなふうに
過ごせてるはずなかったからな。」
「それってどういう意味?」
自転車のカラカラする音が虚しい。
「中学入る前に、嫌なことばっかりで
スゲームカついてさムシャクシャしてて
ガキの癖に馬鹿ばっかりしてよ。」
「ユウヤが?見えないね。」
ユウヤが荒れることなんてあるんだね?
「そん時、俺はちぃーに会って救われた。」
「ちぃ君に?」
それは、初めて聞いた彼らの内部事情だった。
「最初はスゲー甘党なヤツで意味不明だし、
こんなヤツ知るかよって思ってたんだけど、
ちぃー、スゲー優しいんだ。」
「そんなふうには見えないけど・・・」
「俺、馬鹿だからセンコーに呼ばれることも
よくあったし、先輩の絡んでる喧嘩に巻き込まれた
こともあってさ、死にそうになったことあんだよ。」
夕焼け色したお空から星がこんにちわする。
「し、死にそうに!?」
「喧嘩ってヤベーヤツとので・・」
そっか、不良だったんだ。
今更、驚くようなことを言ってるわけじゃないか。
ただ、今までそんなところに遭遇してなかっただけで
本当はそんな危ない世界の人達だった。