【コラボ】パラレル・ラブストーリー


「……ふむ」



しかし今日は、どうもはかどらない。


瑛はシャープペンをくるくると回し、ため息をついた。


仕方がない。今日は帰るとしよう。


そう思うが、足取りは重たかった。


瑛には、家族がいない。


両親を幼い頃に亡くし、今は親戚の家に身を寄せている。


十分豊かで、思いやりのある親戚だが、やはりあの家は『帰りたい場所』ではなかった。


少ないけれど、両親の遺産がある。


高校を卒業したら、親戚とは離れ、一人でやっていきたい。


きっと、そのほうが気が楽だ。


そう思い、県外の大学を受けることに決めた。



(もう、12月か……)



時の経つのは早い。


卒業はもう目前だった。



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