《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
俺たちふたりは甘い蜜月のはずなのに。


寄り添えない不幸な新婚さん。


俺はクローゼットからボストンバックを出し、服と下着を荷物に詰める。


「!?」


俺の私物が混じっていないかドレッサーの引き出しを開けた。


引き出しには見慣れないブランドの万年筆と知らない携番とアドレスの書かれたメモ。



俺の目には触れないように引き出しに隠された浮気の証拠品。


俺は上着からケータイを出して、メモに書かれた番号に電話を掛けた。



ーーーーもしもし・・・濱部ですが…



「濱部透真さんですか?」


ーーーー君は?


俺は名前を訊かれ、黙ってしまった。


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