《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
* * *

彼のアイドルの姿が観たくて、部屋にテレビを置いた。
18年間、テレビとは無縁の世界に居た私。
インターネットもケータイの存在だって知らなかった。



最近、週刊誌を賑わせてる智成さんと人気グラビアモデルの菜由の噂。
菜由は私よりも胸が大きくて、スタイル抜群だった。
智成さんは地方のライブ公演で大学はずっと休み続けていた。

私は何度も、ケータイを覗いてはため息を漏らす。


真相を訊きたいのに、彼にメールが打てないし、直接、電話も掛けられない。


心のざわめきは日に日に増すばかり。



私は陰鬱になりながら食堂で一人、ランチを食べていた。
彼のコトを考えると、まともに食事も喉を通らない。


「昨日も彼氏に求められてさ…困っちゃった」

「愛されてる証拠じゃん」

「でも、私は欲望のはけ口されてるみたいで嫌だな…」

「浮気されるよりはいいじゃん」


浮気?

背中越しに聞こえて来る会話に興味をそそられた。
人の話を盗み聞きするのはいけないコトだけど。もしかして、智成さんが他の女性と噂になったのは私に原因があるんじゃないかと考えた。





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