《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
濱部社長の言葉を思い出した。


私もウザくて、仕方がなかった。


お義母さんの選んだ藤の花柄の着物。
その着物に似合うお義母さんの私物の帯を貸りるコトになった。



大安吉日の日曜日。


ダイヤモンドホテル銀座のチャペルで二人は挙式。

着物を着て出席したのは友人の中で私だけ。


「さすがは華道の次期家元の奥様ね…桃」


挙式を終えた由美が私に近づいてきた。


「…私、皆には隠してるけど妊娠してるの」



由美は私の耳許で囁いた。

ざまみろっと蔑むような目つきで私を見つめる。


由美だけにそっと話した私の妊娠。




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