夏音



「あ、愛姫です。」


そう言ったら、玲が玄関を開けて顔をのぞかせた。


「ん、どした?」

「本、返さなきゃと思って。ごめん、忙しかった?」


おずおずと尋ねると、玲が優しげな笑顔を見せた。


「全然忙しくなかったし。本なんか明日で良かったのに。」


と。

もともと少し切れ目の玲が、もっと目を細めて笑う姿は、昔から好きだった。


< 18 / 30 >

この作品をシェア

pagetop