曖昧ショコラ【短】
「おい、何ボーッとしてるんだよ!さっさと座れ」


「あ、はい……」


有無を言わせない視線を向けられ、仕方なく篠原の向かい側に座る。


「さっさと食え。時間の無駄だ」


「はい。……いただきます」


「作ったのはお前だろ」


篠原に頭を下げると、彼がため息を漏らした。


「でも、食費を出して下さってるのは先生なので」


いつものように返せば、篠原もいつもと同じように眉を寄せた。


「食う前の挨拶なら受け入れてやるけど、俺にいちいち頭を下げるな」


そして今日もまた、意味のわからない言葉を寄越されたのだ。


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