曖昧ショコラ【短】
篠原の担当者として与えられる仕事は、編集部らしい仕事よりも料理や掃除の方が多くて、本来の仕事のスキルでは無く家事のスキルが上がった。


最初はあまり得意では無かった料理も今ではレパートリーが増え、調味料にもこだわるようになり始めた程。


元々は篠原の機嫌を損ねない為に美味しい物を作る努力をしていたハズなのに、今では彼の『美味い』の一言の為に努力をしている気がする事もある。


もちろん、そんな事はあたしの勘違いであって欲しいのだけど…


「……まぁまぁ美味い」


ぶっきらぼうな篠原が紡ぎ出した感想に、今日もまたつい笑みを零しそうになってしまう。


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