赤い薔薇の下で【六花の翼コラボ】
まりあにとって、太一はまだまだ子供っぽい弟だ。
自分の好きな人が大人っぽい瑛だから、余計に――
「――信じられない」
「それは酷いよ姉ちゃん……」
ぽつりと呟かれた言葉に反応して、太一が大袈裟に胸元を押さえて見せる。
それを温かい眼差しで見つめながら
『はぅ…でも、伝統の餌食になってるくらいだし。何より、まりあの弟だもんなぁ…』
なんて神無が考えた、その瞬間。
「ちょっ…離してよ先輩!」
「ダメだ。怪しい行動をしていたお前を逃がす訳にはいかない」
「だから違うって――!」
なにやら言い争っているらしい男女の声が近付いてきた。