狼さまと少女

頭に触れる柔らかな感触に気づく。
ずっと優しいそれに浸っていたいけれど、起きなくてはならない。
ゆるゆる瞼を上げると、私の顔を覗くまん丸な青色の目と合った。

「お目覚めになられましたか」

青色の目をやんわり細めてそう言う子供に驚いた。
白い頭の上では白い獣耳がぴくりと動く。子供の背中から見え隠れしている白いふさふさした物は尻尾だろう。
よく分からず動揺している私に気づいていないのか、子供はにこにこ笑っている。
可愛らしい笑顔に頬が緩む。

「幸さま」

名前が呼ばれた方へ顔を向けると、笑っている白い子供に瓜二つの少女がいた。
少女には黒い獣耳が付いている。

「白、お前説明してないでしょう」
「あ!そうでした。幸さま!」
「はい」

並んで座る二人にこちらも居住まいを正す。

「僕は白と申します。白とお呼び下さいませ。この者は鈴です」
「わたしは鈴とお呼び下さい」
「僕たち白と鈴が幸さまのお世話を致します。」

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