狼さまと少女
それから時間が経ち、私は一枚の着物を纏ったままある部屋へ通されていた。
私が先程までいた部屋とは違い、ここには生活に必要な最低限の家具しか置かれていない。
そんな中で私は正座して部屋の主を待っていた。
支度をしてくれた鈴は満足そうに笑い、くるりと回って姿を消してしまった。
姿を消せる事も十分驚いたけれど、それを上回る程の言葉を消えてしまう直前に鈴が残していった。
「初めてでしょうけど、心配なさらずとも大丈夫ですよ!主様はお優しいので」
理解した途端、頬に熱がたまるのが分かった。誰もいないのに恥ずかしくて顔を伏せる。