本の森と狼さん。
変わらされた
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暗く冷たい道をトボトボと歩く
----わたしは、どうしたら良いの
帰りのバスの中では
浜尾さんに言われた言葉が
繰り返し鳴り響き、
わたしを傷つけていった。
----明日からは図書館には行かないでおこう
普通にしていただけで
何であんなに避難されたのか…
訳の分からない敵意ほど
恐ろしく、鋭いものはない。
風が寒いせいか、
鼻の奥がツンとした
「ただいまー」
朝よりも一層重たくなった扉を開け
安心できる我が家へ入る
----いつもの匂いだ
鼻をかすめた匂いは
あったかく優しくて
なんだか涙が出そうになる
「あらおかえりなさい」
いつも通りお母さんが笑いかけてくれた
「…ただぃま」
そう言うとなぜだか
歯止めが効かなくなって
涙が溢れでてきた
「友恵!?」
お母さんが駆け寄ってくる
----なんで
普通に本を読んでただけなのに
自分なりに日常を守ってたのに
『そーゆーの、ウザイんだよね。』
『とにかく、
二度とウザったいことしないでよ』
『だからさ、そうやって
<だれか私に気づいて>みたいなの、
見てると虫酸がはしる。』
なんで、
あんなことを言われなきゃならないの
「友恵、どうしたの?
泣いてちゃ母さん分からないよ」
滲んだ視界に心配そうな母さんが映る
「…友達とケンカした。」
心配させちゃいけない
そうとっさに思い
ありえない嘘をついた。
----友達なんていないのに…
お母さんは黙ってうなずき
頭をなでてくれた
高1になってまで、
わたしは、なんて弱いんだろう
なんだか、自分がひどく惨めに思えた。