本の森と狼さん。

変わらされた


:
:
:
暗く冷たい道をトボトボと歩く


----わたしは、どうしたら良いの


帰りのバスの中では
浜尾さんに言われた言葉が
繰り返し鳴り響き、
わたしを傷つけていった。



----明日からは図書館には行かないでおこう



普通にしていただけで
何であんなに避難されたのか…


訳の分からない敵意ほど
恐ろしく、鋭いものはない。


風が寒いせいか、
鼻の奥がツンとした



「ただいまー」



朝よりも一層重たくなった扉を開け
安心できる我が家へ入る


----いつもの匂いだ


鼻をかすめた匂いは
あったかく優しくて

なんだか涙が出そうになる



「あらおかえりなさい」



いつも通りお母さんが笑いかけてくれた



「…ただぃま」



そう言うとなぜだか
歯止めが効かなくなって
涙が溢れでてきた



「友恵!?」



お母さんが駆け寄ってくる



----なんで
  普通に本を読んでただけなのに

  自分なりに日常を守ってたのに


『そーゆーの、ウザイんだよね。』

『とにかく、
二度とウザったいことしないでよ』

『だからさ、そうやって
<だれか私に気づいて>みたいなの、
見てると虫酸がはしる。』



なんで、
あんなことを言われなきゃならないの



「友恵、どうしたの?
泣いてちゃ母さん分からないよ」


滲んだ視界に心配そうな母さんが映る



「…友達とケンカした。」



心配させちゃいけない

そうとっさに思い

ありえない嘘をついた。



----友達なんていないのに…



お母さんは黙ってうなずき
頭をなでてくれた



高1になってまで、

わたしは、なんて弱いんだろう




なんだか、自分がひどく惨めに思えた。

< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop