ぬくもりをもう一度
艶やかな髪を撫でていた手を、

ゆっくりと頬へと滑らせる。


香澄はすっかり深い眠りに

入ってしまったようで、

ふわり柔らかな微笑みをしたまま

眠り続けている。


いくら気の知れた仲だとはいえ、

こんな無防備に

それも天使のような微笑みを

見せられてしまうと、

俺の胸の奥に押し込んでいた感情が

ふつふつとわきあがってきてしまう。


ようやく―――


ようやく、

香澄の結婚を仕方なくも

受け入れようかと

思っていたっていうのに。


香澄への想いが

またどんどんと

膨らんでしまうではないか。





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