ぬくもりをもう一度
表情を崩さずに、

差し出された弁当箱を野々原へ

押し返す。


好きでもない女からのお弁当なんて、

気持ちの重みが大きすぎて

受け取ることなど出来ない。


中途半端な気持ちで

受け取ってしまったら、

野々原を勘違いさせてしまうし、

余計に傷つけてしまう。


つき返されたお弁当をじっと見つめたまま、

野々原は口をぎゅっと固く閉じている。


今の野々原には、

こうしてあげた方が正解なんだ。


ふうっと息を吐くと、

俺は野々原へ視線を向けて声をかける。


「もういいかな。じゃあ、俺、行くから」


そう言って席を立とうと、

椅子を少しひいた。






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