ぬくもりをもう一度
壁にある時計に目をやると、

就業時間までまだ時間がある。


視線を野々原へ戻すと、

表情を固くしたまま口を開いた。


「野々原、ちょっといいか」


「どうしたの? 阿久津くん。

 ここで話せばいいじゃない」


「いいから、ちょっと来い」


俺の乱暴な言葉に、

それまで笑っていた野々原の顔が

一瞬の内に強張る。


野々原の反応など今はどうでもいい。


俺はろくに返事も聞かず、歩き始めた。





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