ぬくもりをもう一度
ちらほらと出社してくる社員に

逆らうように歩く。


ずんずんと歩く後ろから、

野々原のヒールの音が聞こえてくる。


ちゃんと俺についてきているようだ。


男女がこうして歩く場面、

普通だったらみんな

好奇な目で見るのだろうが、

ここの社員は人に全く興味がないのか

まるで空気のように流れていく。


今の俺には、それがありがたく感じた。


廊下の端へとやってくると、

外階段へと通じる扉を開いた。


「こっち、こいよ」


視線を合わせずに言うと、

野々原が静かに扉の向こう側へ出る。


ガシャン、と物々しい音と共に

扉が閉まると、

俺はようやく野々原へと視線を向けた。





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