ぬくもりをもう一度
「郁哉なら、来ないよ」


「え……」


「ここで立っててもしょうがないしさ。

 ―――この間の店に行かないか」


香澄の顔が一瞬、強張る。


“この間の店”


野々原が割り込んできた、店。


俺も香澄と一緒で

あまり気乗りはしないのだが、

雰囲気のあるゆったりとした店は、

残念だけれどそこ以外思いつかない。


「ゴメン。俺、他にいい店知らなくて」


素直にそう言うと、

香澄はようやくふわりと微笑んで

こくんと頷いた。




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