ぬくもりをもう一度
一大決心
郁哉がセッティングしてくれた

香澄との食事から、

早くも1週間が過ぎていた。


あの後、得意気な声を上げて

電話してきた郁哉に、

「サンキュ」とだけ伝えた。


そんな俺の言葉に不満を覚えたのか、

それとも香澄との関係を

詳細に言わなかったのが

良くなかったのか、

郁哉は「それだけっすか」と

声を落とした。


郁哉には本当に感謝していた。


にくい計らいがなければ、

きっと俺は香澄ともう

逢わなかっただろうし、

気持ちを伝えぬまま

心に鍵を掛けてしまっただろう。


ただ、俺と香澄が

それからどうなったかまでは、

こっぱずかしくて口が裂けても言えない。





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