ぬくもりをもう一度
それまであった温かい空気が、

鋭くて冷たい声が切り裂く。


その声に香澄の身体が

びくんと跳ねたと同時に、

表情がみるみるうちに曇っていく。


「とも、くん……。

 どうして、ここに?」


か細い声で呟く香澄に、

“ともくん”と呼ばれたその男が

ゆっくりと近付いていく。


すぐ後ろで立ち止まると、

男は香澄の両肩にそっと手を添えた。


この状況を

男はどこか楽しんでいるように、

俺に向かってにっこりと

笑顔を浮かべて口を開いた。






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