ぬくもりをもう一度
それと同時に、なんで今まで

かたくなに香澄に

連絡しなかったのだろうと

責める自分もいた。


こんなに温かい気持ちに

なれるというのに、

自分のちっぽけな

プライドを守るために

距離を置いた自分が、嫌になる。


「あれ、阿久津さんと飯島さん。

 まだこんなところにいたんですか?

 せっかく学祭に来たんですから、

 ちょっと回った方がいいですよ」


両手いっぱいにビニール袋を下げて、

郁哉は満足げな顔をして

戻ってきた。






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