ぬくもりをもう一度
「亨くんは、

 彼女……いるのかな」


グラスに残っている

カシスオレンジを飲み干してから、

香澄は穏やかに訊く。


普段の、会社での飲み会などでは

何気ない質問なのに、

今の俺には責められているようで

胸が苦しい。


ずっと―――


大学を卒業してからずっと、

再会を望んでいた相手に

そんなことを訊かれるなんて。


しかもその相手には、

俺以外の男がいると

知ってしまった後で。


勢い良くビールを喉に流し込むと、

首を横に振る。




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