ぬくもりをもう一度
香澄の婚約者が、

『頼りがいのあるやさしい人』

だと言うのだから、

きっとそうなのだろう。


香澄にとって、

なんて最低な彼氏だったんだろう、

俺は。


「そうっか。……おめでとう」


本当はこんな言葉、

口が裂けても言いたくなどない。


でもこんな俺じゃ、

香澄の結婚を止められる権利など、

ない。


「ありがとう、亨くん……」


そう言って優しく微笑む

香澄の顔が、

俺の胸をぎゅっと

きつく締め付けた。





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