後悔バス【短編】
ある
確かにある
けれど
それは誰にも
言ってない事で
いや、言えなかったんだ
だから、当然、たけしも知らないと思っていた


『俺、知ってたよ』


『えっ…』


『だってさ、あん時お前がやらなきゃ、お前が虐められてただろうからな』


俺は小5の時、クラスのいじめっ子に脅されて、クラスの子が持ってきていた給食費をたけしの鞄にそっと入れたんだ


その日からたけしへの虐めが始まった


3か月経ってたけしは学校へ来なくなり、いつの間にか転校してった


俺は何とも後味が悪くて悪くて…こんなことなら自分が虐められてりゃ良かったと思ったり、やっぱり虐められるのはゴメンだと思ったり…


それからの俺はいつもどこか無理して笑うようになった気がする


大して仲の良くないやつに気を使い、子供なりに愛想笑いをしていた


そんな俺を見て、婆ちゃんはいつも言ってたんだ


『笑うって無理するもんじゃないんだよ』


俺はただうるせぇなぁと思うだけだった


< 12 / 36 >

この作品をシェア

pagetop