今すぐ好きって伝えたい!
その声は、あのひだまりの廊下から一番近い女子トイレからだった。

「…愛花。ごめんな。」

中には勿論入れない。

さすがに人が少ないとは言っても、来ないわけではない。

もうここにはいられない。

ごめん。ごめん。

その言葉だけが体中を駆け巡った。



俺は朦朧とする意識の中、できるだけいつも通りに歩いて教室へ戻った。

責める紗希を含めて、俺の友達が寄ってくるけれど、そんな気分じゃない。

「悪ぃ、ちょい具合悪いんだ。」

そう嘘をついて自分の席に座った。

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