赤い月 肆

暴れ狂う雌豹が、体育館の前の通路で捕獲されていた。

正確には、捕獲されているとは言い難い。


「はーなーせー!!!
このセクハラジジィ!!!」


「やめなさい!!
危ないから!!
ぅあっ?!
イタタタタ…」


「今行っても、足手まといになるだけだから!
心配無用って言ってたから!
信じよ? ね? ね?!」


背後から上半身を氷室に羽交い締めにされ、腰を小鞠にホールドされ、それでも雌豹…祥子の闘志は衰えていない。

氷室の腕に噛みつき、二人を引きずりながらジリジリと前進している。

あの様子なら、祥子と小鞠にケガはないだろう。


(てか、元気すぎンだろ。)


体育館に駆けつけた景時と薫は、顔を見合わせて苦笑した。

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