LOVE PRINCESS(美鶴&琴)
「何考えてるの? 無理に決まってる。……結婚はちゃんとした人としなさいって」
「“ちゃんとした”って何?」
そんな顔したって駄目。
美鶴、無理なんだよ。
「わかってるでしょ?
どこかのご令嬢がいるでしょう?
こんだけお金持ちなんだもん。
結婚したい人は捨てる程いるわよ」
「……俺が結婚したい人は、琴さんだけだよ?」
何度も何度も聞いたセリフ。
それを聞く度に、本当は涙が出そうなくらい嬉しかったんだ。
でもね?
現実と夢の違いをわからない時期なんて、もう私には終わったんだ。
そんな若い頃は、もう過ぎちゃったんだよ。
そう、美鶴に告白されたあの時だけ……。
私は夢を取ってしまったの。
でもね?
夢はいつか覚めるもの。
もう覚める時がきただけの事。
それだけ。
それだけの事……。
「はぁー……、帰るわね」
「え? 琴さん?!」
私の腕を掴もうとする手を払った。
「もっと大人にならなきゃ駄目よ?
会社継ぐ身でしょ?
いつまでも子供なんて許されないよ」
美鶴の目を見れなくて。
だから、目線をわざと逸らして。
だけど、私の意志を伝える為に……最後は強く美鶴を見つめた。