AZZURRI~AZZURRO番外編~
「どうすればこの量が減るのか…
いっそのことユキノ様をご懐妊させてしまってはどうだろうか。」


半分以上冗談だか
そう言う関係にユキノとクリスがなった今
正式な婚姻はまだだとしてもその可能性は否定できない

まぁ
ユキノ様がご懐妊したからと言って諦める様なタヌキどもではないか

はぁ…


身分の低い
いや元々この世界に存在すらしていなかった娘を
愛し、心から正妃にと望んでしまった君主…


幼い時から様々な要望に答えてきたが
今回はさすがに骨が折れる

「少し休む。
皆も適当に休んでくれ。」

もう一度盛大なため息を残して
ジャンは執務室を後にした


宿舎へと続く渡り廊下に差し掛かったところで
見慣れた後姿が目に入った

ふわりとした栗色の髪に華奢な背中


「ケシャ…何をしている?」


そこにいたのはユキノに仕える女官のケシャだった


突然聞こえたジャンの声に
ケシャはその細い肩をビクリと震わせた

そして
手に持っていた物を背中で隠すように
慌てて振り返る

「ジャ、ジャン様!
今日はお早いお帰りですね。」

いつもの様に話したつもりのケシャだが
ジャンがその姿を見て納得するわけは無く

「隠した物を見せなさい。」

あっけなく見破った

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