親友を好きな彼


クリスマスイヴ!?

すっかり忘れていた!

今朝はまだお得意周りもしていないし、必ずしもクリスマスに訪問出来るとも限らないから、得意先には早めのクリスマスプレゼント…といっても簡単な粗品を渡していたのだった。

だから今日がイヴだなんて、すっかり忘れていた。

「最初に会った時に言ってたろ?イヴには予定ないって」

「あ、ああそうね。言った気がする」

言われてみれば、聞かれた気がする。

まさか、それを覚えていたなんて。

私を誘うという事は、嶋谷くんも今夜予定がないのか…。

それとも、先約にキャンセルされたか。

どちらにしろ、そんな事情はどうでもいい。

イヴの日に、一人で真っすぐ家に帰るのも寂しいし、嶋谷くんでも一緒の方がマシかも。

それに彼、これだけのイケメンくんだし、他人になら恋人同士と間違えられても悪くない。

そんな打算的な考えが浮かび、私は頷いていた。

「うん分かった。仕事は早めに終わりそうだから、一緒に行こう」

そう答えると、嶋谷くんは微笑んで言った。

「じゃあ、夕方連絡する」

そして、颯爽と給湯室を出て行ったのだった。

そんな姿もサマになるんだから、彼とならイヴを過ごしてもいいか。

自然と笑みが浮かぶのを感じながら、窓の外に目をやると雪が舞い降り始めていた。

「ホワイトクリスマス!」

大翔と付き合っていた時も、二回ホワイトクリスマスになったっけ。

今年のクリスマスはどうしているの?

もう大事な人を見つけた?

私はまだ、前へちゃんと進めていないみたいだよ…。


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