わたしの前から突然、消えたモノ…
進むにつれて人ごみになってきた。

どこを見ても、顔がない。
なんか、ロボットが行進してるみたい。

その光景を見ているうち…

怖いというより、こっけいな感じさえ
して震えが止まってきた。

もう、どうでもいいやって。

そこらへん能天気なんだよね。

デートの定番、ランチして
カラオケ行って…

その次に、彼が言ったのは、

記念に、プリクラとろうか?

え?

顔ないのに、意味ないし。

と思いつつ…
がんばって笑顔を作って頷いた。

プリ機が動く。 カシャッ。

画像が目の前に映し出される。

ん????

映ったわたしの隣にカレがいる。

しかも、ちゃんと顔ありだし。

そう、これがわたしの求めていたもの!

わたしは、笑顔でプリに顔を向ける。
カレの笑顔が横にある。

うん、理想的なカップルだよっ、
この感じ♪

って、ことは…

これ、わたしの目がおかしいってこと?

別れ際、カレの顔が近づいてきた。
いや、正確には首が、だけど…

もしかして、いきなりキス?

学校で一番かっこいいカレとの
理想的な流れ。

だけど…

わたしはつい下を向いてしまった。
だって、肝心の顔ないし…
どこが目か鼻か口かわからないんだよ?

あ、ごめんね。
魅力的に見えたからつい…

カレはあわてて、言い訳する。

わたしは、ごめんなさいっ、
と謝ると、走るようにその場をさった。
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