社長の吐息プラチナの甘美な囁き
「水を飲ませて…」


今の尚貴をかわすにはその言葉しかない。



胸の内側でドキンドキンとうるさく騒ぐ心臓を抑えて、言葉を放つ。



「口移しをねだるなんて大胆だな」


「!?」


私は金魚が餌を求めるように口を間抜けにパクパクさせた。



尚貴が上体を起こしてくれて安心したけど。


次の瞬間、尚貴は水を口に含んで、私に口移しで水を飲ませてきた。


水が尚貴の口移しで喉の奥に消えていく。
< 66 / 204 >

この作品をシェア

pagetop