ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
「あっ、そうそう。言っとくけど、コレ、別に女のプライドを捨てろ、っていう意味じゃないからね。ニュアンス的には“しゃ~ない、そんならアンタの好みに合わせてやるとすっかァ”みたいな感じだから」
「あくまで“上から目線”なんだね?」
「そうそう♪ オトコなんて単純だから、カワイコぶってればかわいがってくれるもんなのよ♪」
「わぁ~、単純~」
「だからね、オトコなんて、『西遊記』のお釈迦様の手の平の上で転がされる孫悟空みたいに、片手でコロコロ転がしちゃえばいいのよ♪」
そのときのメガネの下の目が、いかにも悪女っぽくキラリと光ったのをあたしは見逃さなかった。
「お代官サマもワルですなァ~♪」
「いやいや、越後屋、お主のほうこそ、なかなかのワルよのォ~♪」
「いえいえ、お代官サマにはかないませぬわァ~♪」
「ハーッ、ハッ、ハッ…」×2
アラサーの女と14歳の女の笑い後がシンクロして、本屋さんの裏にこだました。