ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
今度の微笑みには明るさが見えた。
たとえソレが強がりの明るさだったとしても……。
「そのとき以来よ、あたしが男のヒトの前で、ときどきドジでダメなメガネっ娘のフリをするようになったのは♪」
いま彼女があたしにしてくれた話は、あたしより先に生まれて、長くオンナをやっているセンパイとしての彼女からの、男のヒトにモテるためのワンポイント・レッスンだったんじゃないかと思う。
こんなこと学校も塾も、そして親もゼッタイ教えてくれないことだけどね。
「室井さん、アラサーのクセによく自分のこと“メガネっ娘”とか言えるよね~♪」
「コラ、そこはつっこまないっ。今度もし、そんなイジワル言ったら、もう新刊本キープのサービスしてやんないぞォ♪」
“新刊本キープのサービス”っていうのは、新刊本が店頭で売り切れても大丈夫なように、彼女が1冊キープしておいてくれるというサービスのことだ。
「そ、そ、そ、それだけは、どーかご勘弁をお代官サマ~っ」
ジョーダンっぽく、あたしが言うと彼女が笑った。