ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)

今度の微笑みには明るさが見えた。

たとえソレが強がりの明るさだったとしても……。

「そのとき以来よ、あたしが男のヒトの前で、ときどきドジでダメなメガネっ娘のフリをするようになったのは♪」


いま彼女があたしにしてくれた話は、あたしより先に生まれて、長くオンナをやっているセンパイとしての彼女からの、男のヒトにモテるためのワンポイント・レッスンだったんじゃないかと思う。

こんなこと学校も塾も、そして親もゼッタイ教えてくれないことだけどね。


「室井さん、アラサーのクセによく自分のこと“メガネっ娘”とか言えるよね~♪」

「コラ、そこはつっこまないっ。今度もし、そんなイジワル言ったら、もう新刊本キープのサービスしてやんないぞォ♪」


“新刊本キープのサービス”っていうのは、新刊本が店頭で売り切れても大丈夫なように、彼女が1冊キープしておいてくれるというサービスのことだ。


「そ、そ、そ、それだけは、どーかご勘弁をお代官サマ~っ」

ジョーダンっぽく、あたしが言うと彼女が笑った。
< 90 / 205 >

この作品をシェア

pagetop