セックスフレンド

「あんたいつまで、泣いてるのよ? 紺野さんにがっかりされるわよ」

母さんは言いながら、またハンカチで涙を拭いてくれた。


そうだ。

幼い頃もこんなふうに涙を拭いてくれた。

オレは、父さんと母さんに引き取られて、しばらくの間。

夜になると、実の母親から虐待を受ける夢を見ていた。

悲しい夢で目が覚めて、オレは泣き続けた。

すると、母さんは、


『悲しいことが消える魔法よ』

母さんは、オレの涙をハンカチで拭いてくれたんだ。


だから、オレはマナに同じことをした。

結婚式の後、マナと喫茶店で話して、家まで送る途中、マナは泣き出した。

これ以上、マナが悲しまないように。

そんな思いを込めて涙を拭いてあげたんだ。
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