火ノ鳥山の渇人
禍々しく曲がった木から枝を伸ばしそれに乗って上へ逃げた。間一髪の所で数羽の火の鳥は木に激突した。爆風が凄い。当たったら恐らく死ぬ。恐ろしくなって血の気が引くが、倒れてる暇はない。残りの火の鳥がこちらに向かってくる。俺はまた違う木から枝を伸ばし、森の奥に逃げ込む。あれは一体?なぜ俺を?疑問をあげればキリがない。わかってるのは…確実に俺を狙ってる!

俺が次の枝に飛び移る時、まんまと足の枝を狙われ、落下した。地面に落ちる数秒の間も3羽。俺に突っ込んできた。逃れようがない。今宙に浮いてるからという訳じゃない。最初の一撃だって交わせたのは奇跡に近い。火の鳥達のスピードは尋常ではないし、どんどん火の玉が出てきて、羽が生え今や20羽程いる。とても逃げ切れない。2羽が俺の腹に突っ込んで、俺の腹は吹っ飛んだ。


腹が吹っ飛んだ俺をその近くで俺が見ている。

ん?

腹を吹っ飛ばされた俺は木になって下に落ちた。何だ?変わり身の術?俺は違う木の枝に立って、落ちた俺と火の鳥を見つめてる。

何がなんだかわからない。

火の鳥がこちらに気付き、襲いかかってきた。俺は右手を上に上げた。そうすると下から木が生えてきて、火の鳥の行く手を塞ぎ爆発させた。また違う方向からきた火の鳥も、俺が左手を上げただけで、俺が乗ってる木の枝から大木が出てきて塞いだ。今までせいぜい操れたのは蔓や葉だ。今は一瞬で木を丸ごと生成している。

髪の毛が肩まで伸びてる。身長も高い、軽くロズを越すだろう。何だろ頭が痛い。俺は地面に下り、その場でうずくまった。なぜか火の鳥も襲ってこない。

「うぅ、頭が…割れそう…誰か…」

その時声がした。

「まだ、寝ているべきです。」
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