火ノ鳥山の渇人
木と火
木々を移り渡りペドロの攻撃を交わす。ナナシも木から枝を伸ばし、まるで鞭のようにしならせペドロを狙う。だがすんでのところで燃え尽きてしまう。

「私にあなたの攻撃は当たらない。あなたは植物、私は火。法力での相性が悪すぎる。」

対するナナシは、腕を素早く動かして枝を操り、わざと手前で火の鳥を当てて爆発させ交わしている。

「相性は悪いかも知れねぇがここは森だぜ?漁夫の利ってやつは生きると思うけどな。」

ナナシは両手をバチンと合わせた。左右に合った太い大木がまるで磁石のように合わさり、大きな一本の木になり、ペドロに倒れた。
ペドロは肩から火の鳥だけでなく、両の手から火の鳥を出したが大木が燃える間もなく倒れ落ちた。

ズドドド……。

地響きのような音が鳴り。ナナシも枝から飛び降りた。だが近くに行こうともしない。まだ警戒している。さらに手を上にかざすと周辺の木から枝が伸びてくる。そして手を握り締めると、合わさった枝たちで、大きな握り拳が出来た。ナナシは地面を殴るように下に振り下ろした。ペドロを潰した大木にトドメを刺すように拳が突き刺さる。

………

「ん~あっけないね。終わりかな。」

ピキッ!

ナナシは何かを察知し後方に飛ぶ、しかし間に合わない。
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