火ノ鳥山の渇人
ペドロ自体が火の鳥と化し、大木、そして枝が集まった拳を突き破り上昇、直角に曲がりナナシに突っ込む。体の首から下右半分を貫いた。

「ぐはっ……。」

地面にうつ伏せに倒れたナナシ。すぐに再生を始めるが途中で止まる。そこに2メートル程距離を空けてペドロが立つ。

「芯に当たったみたいですね。再生には時間がかかる。」

そう言うとナナシの四方に火の鳥が止まる。

「てめえ何する気だ。」

「あなたと交換条件があります。」

「交換条件だぁ?」

「そう。私が出す条件は1つ。それさえ守ってくれれば、あなたをこれからも監視下には置きますが、自由にする事を誓いましょう。」

ナナシは恨めしそうな目でペドロを見上げる。

「もちろん他の11人にも了承を得なければなりませんが、おそらく大丈夫でしょう。私達の心は常に【主】のお言葉1つで繋がっているのですから。」

「……自決するな…か?」

「その通りです。その行為は【主】の教えのもっとも遠い位置にある考え。罪深き業だ。それを弟子であったあなたが行うなど、断じて許されない。何があろうとも生きる。それが条件です。」

ナナシは大した間も置かずに答える。

「それが【あいつ】に対して最大の侮辱、反逆に値するんだ。これを止める理由がどこにあんだよ馬鹿やろーが!」

ペドロが一呼吸置く。目は離さない。

「俺はな~必ず俺は死んでやるぞ…必ずだ!!へっへっへ。」
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