名無しのノート
あのノートが頭から離れない。

結局、田辺君のノートは無かった。
先生も困った表情をしていた。忘れ物を普段するような人じゃないからなあ。

昼休み、私はトイレに自然に足が向かう。
あのノート、もしあったら…

トイレに向かう廊下も長いとは感じられなかった。

トイレに向かう廊下の最終コーナーを…あれ、これあった方が良いのかな?

あったら…ていうかそもそも、ぐ、偶然かも…

目を瞑る。

曲がる、曲がる、目を開ける。

当然のように………………………………………あった。

当然のように、同じところに。

私は駆け寄る。
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