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「条さんがいじめすぎたせいじゃないですか?」
「えー? 違うよ、人聞き悪いなあ。あれはもともと」
「そうなんですか。でもピーキー、条さんには敵意剥き出しじゃないですか。きっと森さんの敵だと思ってるんですよ」
「……別に、ただ男が嫌いなだけじゃないの」


例外というのは、条のことだった。
なぜか彼にだけは、ピーキーが甘えたり自分から近寄ったりすることが絶対にないのだ。

「一緒にすんな、お前だけだよ」とラビに言われ、条は唇を尖らせる。
だがすぐにその口許を笑みの形に変えると、茅野の肩に手をかけた。
頬に手を伸ばす。


「なんですか?」
「泥ついちゃってるよ」


顔を近づけて、指で頬を撫でるように触る。
間近で目が合って、条の目がわずかに細められるのがわかった。

茅野は、瞬きをする。


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