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「茅野」
大きなブラシでピーキーの横っ腹を撫でながら、ラビが茅野に話しかけた。
ドラゴンの毛並みはなめらかだが、触ってみると意外に固く、一本一本が短い。
ブラッシングも重労働だ。
ピーキーの顎の下から顔を覗かせて、茅野は返事を返した。
「なんですか?」
「お前、しばらくの間はピーキーの世話ってことだったけど、他のゾーンにも行ってみないと研修にならないよな。最初は緑のゾーンがいいと思うんだけど、どうだ?」
「私、どこでも平気です」
少し声を張ると、爪のチェックをしていた条が、茅野の後ろで言う。
条に触られるのが嫌なのか、彼がブラッシングしようとすると、ピーキーが逃げるのだ。
「やる気あるねえ、茅野ちゃん」
「だって、置いてもらってる身ですし」