矢刺さる先に花開く
六波羅の館に戻った清盛は重盛の胸倉を掴んで怒鳴り付けた。
二条帝と後白河院の間を上手く渡り歩き、自身の思い描く国づくりを進めたかった清盛は、重盛にひどく腹を立てた。
「それほどまでに上皇様を政から遠ざけてまで進めたい国づくりにござりまするか!?」
重盛も自身の考えを曲げない。
「我が妻・経子の兄・成親殿は上皇様の近臣!その上皇様を政から遠ざけるは、余りに惨いことかと!」
「重盛!わしの思いがわからぬか」
「わかりませぬ!」
押し問答になった末、ついにお互いの考えを曲げなかった。
――「…かようなことがあったのだ」