やさぐれ女の純情
咲樹は激しく頭を振り、
脳がそのサルと呼ばれる男の顔をクッキリと蘇らせることを拒絶する。
すると、急に頭を振って驚いたのか
口の中の玉ねぎたちが一気に喉へと下っていった。
――んぐっ、うぐぐっ――
喉の内側を目一杯押し広げ、ゆっくりとしか下っていかない苦しさに
咲樹がバシバシと胸を叩く。
「千駄? おい、どうした、詰まったのか? こ、これ飲めっ」
と、清久の差し出した缶からこぼれたビールが
こたつの天板を濡らす。
咲樹は受け取ったビールを立て続けに二口飲み込んだ。
すると、無理やり下るスピードを上げさせられた玉ねぎたちが
咲樹の喉に強烈な痛みを与えた。
「っ――――――――」
声も、息すらも出せない咲樹は、
胸の真ん中を押さえながら前かがみになり
体をくねらせてその痛みに耐える。