恋……シヨ？‐武藤 雅晴編‐

竹田の攻撃をスッと簡単にかわし、反対に武藤くんが竹田の襟首を掴んだかと思うと懐に入り込み…

なんと見事な背負い投げを繰り出したのだ！！



「ぐはッ！！」



投げ飛ばされた竹田は苦しそうに息を吐き出し、咳込んでいる。



す…すごい、武藤くん…！！


ゴミでも片付けた後のようにポンポンと手をはたき制服の乱れを直す武藤くんを、私は唖然としたまま見つめていた。

そんな私に気付いた武藤くんは、一気に心配そうな表情になって駆け寄る。



「先輩、大丈夫ですか！？何もされてませんか？」


「あ…う、うん！私は全然何も…！」


「よかった……」



ホッとしたように、けれど少し切なげな眼差しで私を見つめ、抵抗して乱れたままだった私の髪の毛に優しく指を通す。

その細長く綺麗な指が頬に触れて、胸がドキンと甘く鳴った。